伊藤 彰彦
時代にふさわしい
和食を提案
調理師
伊藤 彰彦さん
とやま自遊館勤務(富山市湊入船町9-1)
- 資格:
- 調理師免許
- 表彰:
- 富山県料理技能展示コンクール一般学生部門、「県知事賞」、技能五輪全国大会 日本料理職種 敢闘賞

役者修業から一転、調理師の道へ
最初は役者志望でした。高校卒業後、舞台役者を目指して上京。昼は劇団に行き、夜は居酒屋の厨房でアルバイトするという生活をしていました。
演技の稽古は楽しかったのですが、いつの間にか居酒屋で料理を作る方が楽しくなってきたんです。「役者も技術職だけど、その技量というのは漠然としたもの。生涯の仕事にできる人はほんの一握りだろう。でも、手に職のある調理師なら一生働いていける。免許があれば就職先にも困らないだろう」と思い、上京から4年で方向転換。富山に戻り、調理師免許が取得できる雄峰高校専攻科に入学しました。
そのひと手間がプロの仕事
居酒屋のアルバイトでいろんな料理を作り、それなりに手際よくこなしていたつもりでしたが、学校で習う日本調理の基礎は、今まで知らなかったことばかりでした。
例えば面取り、隠し包丁、湯通しなど。調理師の仕事は、家庭ではほとんどやらない細かい作業を当たり前のように手間をかけてやります。でも、このひと手間があるから癖がない、苦味がない、生臭くないといった美味しさにつながる。そこが素人とプロの違いなんだと思いました。
この職場は、自遊館の調理師が講師として学校に来ていたのが縁でした。在学中からアルバイトとして厨房に入り、そのまま就職。規模が大きく、腕のいい調理師もたくさんいるので、ここなら技術が磨けると思いました。
挑戦させてくれる土壌がある
日本料理はある程度、決まり事があるのですが、そこからはみ出さない範囲のアレンジは調理人の腕の見せどころ。うちの親方は、若手の意見を尊重してくれ、新しい献立の提案もさせてくれるのでやりがいがあります。
先月はランチメニューを考えました。旬の食材を調達したり、色のバランスを考えたり、メニューのタイトルを決めるため季節の花言葉を調べたり…。試作を繰り返しているうちに残業になることもありますが、楽しいので全然、苦になりません。
最近は日本酒を飲むようになり、富山の地酒を飲み比べしています。純米酒、吟醸酒、生酒などそれぞれに特徴があり、それぞれ合う料理が違うことも解ってきました。近いうちには、自分が作る料理と相性のいい地酒をさっとおすすめできるようになりたいですね。
この道をめざす皆さんへ
料理の世界を目指すなら、まずは調理師免許を取得してください。免許があれば和洋中、ホテルやレストランなど幅広いジャンルの仕事ができます。個人的には、若いうちは独立開業をめざすより、しっかりと調理の基本を学ぶことが大事だと思っています。その点、自遊館のような大きな厨房で働けばいろんな仕事を覚えることができます。人間関係も学べる。おすすめだと思いますよ。